実録!競売不動産落札後はこう動け!第一話!(足利市南大町の中古戸建を落札しました)

本日(4月17日)の競売開札にて、足利市南大町の中古戸建を落札しました。

本記事では、競売の落札後にどのような動きをすればよいのか、実際にしおいぬ社長はどう動いたのかを、実録形式で書いていこうと思います。(今回は現所有者が既に住んでいない状況ですので、すこ~しだけ難易度が上がります。)

ちなみに落札した物件は下記のような感じ。相場よりも下で落札できのたで、利益が期待できます。

南向きの日当たり・痛風良好な立地。スーパーやコンビニも徒歩圏。
築年数は23年。弊社の物件の中だと新しめの方です(笑)
駐車場は3台分。カーポートも1台分。地方は「駐車場狭い物件クソwww カーポート無いとかありえないwww」という方が多く、そうした特性にも対応できそう

実際の私の動きを書いていく前に、競売落札後の基本的な行動を確認します。

①裁判所での開札立ち合いorBITにて閲覧をして自分が落札したことを確認する

②所有者に会いに行く

③お会いできた場合は2通りのルートがある。一つ目は現在居住中で次の引っ越し先が見つかっていないパターン。二つ目は既に引っ越していて引っ越し先がわからないパターン。今回は後者。

④所有者に「自分が落札したこと、一週間前後で正式に落札決定通知が届くこと、そのあと二週間程で落札金額の残りの納入通知書が届き、それを払うと正式に所有権が自分に移ること、それまでに引っ越しをしてもらいたいこと(居住中の場合)、そのタイミングでカギを引き渡して頂きたいこと」を伝えます。その時に物件の「引き渡し証(いつまでに引っ越すか、カギを受け渡すかなどを記載したもの)」などをもらっておくと後がスムーズに進みます。

⑤納入通知書が届いたら、銀行に残代金を振り込みに行き、その後裁判所にて所有権移転及び抵当権抹消などの登記嘱託を行う。

⑥所有者に会えない、会っても「引き渡し証」への署名を拒む場合は「強制執行」手続きに移行します。(どう頑張っても所有者さんと会えない場合を除き強制執行になるケースはほとんど無い。)

⑥その後は、引き渡し証を既に取り交わしていればカギを貰いに行き、晴れて物件内への立ち入り、リフォームの着手などが出来るようになります。

基本的な流れは上記の通りです。それでは、本物件を題材とした、実録体験記形式での明け渡し業務を書いてまいります!

①裁判所での開札立ち合い


4月17日(水曜)

今月もこの日がやってきた。不動産競売の開札日だ。

中古住宅再生事業を営む私にとって、競売の開札日は特別な日だ。この事業にとっての命綱はいかに良い「仕入れ」ができるかである。リフォームも販売も契約も、基本的には「誰でも出来る」。しかし、しっかりと利益が出る「仕入れ」をすることだけは実務経験・センス・人脈・資金力、全てが高水準に無ければすることはできない。特に大手の看板力が無い個人事務所のような弊社にとっては、良い「仕入れ」をする能力は必要不可欠。その中でも「不動産競売」は大手と値付けだけで勝負ができる、中小企業にも勝機が強い、絶好の「仕入れ場」だ。

開札結果は現在はインターネットで簡単に、しかも当日中に確認をすることができる。BIT(不動産競売物件情報サイト)に当日15時までには売却結果が表示されるのだ。しかし、誰が落としたか、2位以下の入札金額などは分からないので、自社で入札をした物件がある場合は私は出来る限り裁判所に出向き確認をしている。

また、他社の値付け情報は「想定販売金額、想定リフォーム内容、他社の値付け計算方法、想定利益」などが数字を聞くだけで丸裸になるとても良い情報だ。

落札できなくても、その情報を収集するだけで今後の入札に有利になるし、仲介をすることができる会社なら事前に連絡してネット広告を他社に先んじて打つこともできる。独立直後の気合満タン!な状態ならぜひとも毎回出席するくらいの感覚で臨みたい。


この日、私が入札をした物件は4件、

①[本命]足利市葉鹿町のアパート(築20年、2LDK・6室の良質な収益物件)

②[準本命]足利市伊勢町のマンション(足利でも高順位の人気を誇る駅近マンション)

③足利市利保町の中古戸建

④足利市南大町の中古戸建

葉鹿町のアパートは前々から目をつけていた収益物件だ。葉鹿町の中でも小学校、スーパー、コンビニが5分圏内の好立地。駐車場もしっかりと確保されており、そこそこのメンテナンスも施されているので初期の入居付けにも困らないだろう。このアパートを持つ大家さんにも前から手紙を送り、購入希望を伝えていたが連絡を取り合うことができなかった。競売になっていたとは、、、複雑な心境ではあるがビジネスは非情だ。臆することなく入札をした。

伊勢町のマンションは資料の写真を見る限りとても状態が良い。このマンションは足利での人気が非常に高いので、多くの入札数が予想される。落札難易度は高いが、利益幅を少なくして高回転で販売をするようにすればある程度高値で入札することもできそうだ。築年数も浅いのでリスクも低い。思い切って、通常の値付け計算での上限を振り切った金額で入札をした。

利保町と南大町は「落ちたらラッキー、落ちなくても全然いいや~」というやる気のない値付けで入札した。両物件ともかなりリフォーム費用が必要とされ、立地も劣るので高く落札しても利益が取れないし、所有期間も長くなってリスクが高くなる。

こうした物件はとにかく「安く」仕入れることだ。例えば、それこそ立地が「駅まで徒歩60分、周りは田んぼだらけ、たまに山から猪がこんにちは。」みたいなところであったとしても、100万で売り出せばまぁ、誰かが買う。

要するに「安く」仕入れると、「安く」売りだすことが出来る。値段が安ければ誰かが買う。立地や建物の状態が悪くても利益を取ることができるというわけだ。


裁判所に行くと見慣れた顔がいた。足利の不動産業者の中で不動産売買では一番大きな規模でやっているE不動産のSさんとOくんだ。裁判所に来ることは少なかったはずだが、どうやら入社半年のOくんの教育の一環として今日は来たらしい。また、私が準本命とおいている伊勢町のマンションに入札をしているようで、その確認も兼ねているとのこと。強力なライバルの出現に尻尾を巻いて逃げ帰りたくなるフツフツとした対抗心が沸き上がった!

回りを見渡すと私が独立する時にお世話になったT商事のTさんもいた。挨拶をしたら私たちの近くに来られた。談笑しながら開札が始まるのを待つ。

競売の開札は10時から始まる(足利市の場合)。しかし、10時から競売についての説明を議長が話しだし、その後入札書を議長を補佐する担当者が開封し諸々のチェックをするというダルイ時間がある。実際に各物件の入札者や金額などが発表されていくのは10時10分ぐらいからとなる。

競売の開札にくる人間というのは皆それを知っているので、ほとんどの人は10時を少し回ったころから入室してくる。本日も10時5分くらいからポツポツと人数が増えていった。しかし、それでも最終的に室内の人数は10人程度にしかならない。

「インターネットでの落札者の掲示が始まる前までは椅子に座れないぐらいの人間が押しかけていたんだけどね、、、。」とTさんが話す。寂しさを感じているのだろうか。ネット社会に慣れすぎた自分にはその気持ちを推し量ることはできない。


10時10分頃になり、1件目の入札状況についての説明が始まった。1件目は本命としている足利市葉鹿町のアパートである。適法な入札件数は5件。一番下の順位から発表されていく。

~~~さん、入札金額~~~円です。~~~さん、入札金額~~~円です。
~~~さん、入札金額~~~円です。

私以外の人間が3人呼ばれた、途中で呼ばれると諦めも付くが、2位で終わるとかなり残念な気持ちになる。落札しろ!落札しろ!と心の中で念じる。

次の入札者、株式会社ハウスメディア、入札金額は1688万円8888円です。

負けた、、、。マジか、、、。一位はいくらで入札したんだ、、、。

次の入札者、~~~~、入札金額は2700万円です。

余りの高額入札に室内がざわつく。使い走りとして来ている事務員さん以外は、競売の開札に来るのはプロ中のプロが多い。プロなので大体の物件情報には目を通すし、「大体これくらいだろう」と入札はしなくても直感的に計算はたつ。そして、この数字は明らかに「高すぎる」入札金額だ。あちこちから「これじゃ利益出んだろ・・・」「個人だな・・・、素人さんがやっちゃったかな?」という小さな声が届く。

ふと見ると、高齢の男性とスーツを着た男性が慌てて何事か話しながら退室していく。届いてきた声は「二位以下と1000万以上差があるぞ、大丈夫なのか!?」「いや~結構離れちゃいましたねぇ・・・。」なんて声。もしかしたら競売代理業者を利用した一般男性だったのだろうか。

競売で最高金額で入札をしても、事前に納入している保証金を放棄すれば購入を止めることができる。余りにも次順位と金額の差が付きすぎた時は止めるのも一つの手だ。

しかし、今回のアパートの保証金は350万円。手放すのは余りに惜しい金額だ。

恐らく、今回の落札者は「1000万以上高く余計な金を払わないとイカンのか…」と思いながらも残代金も納付するだろう。この物件を2700万円で購入すると、1~3年目までは減価償却費のおかげでCFはプラスになるだろうが、それ以降は赤字転落する可能性が高い。

「値付け」だけで勝負を決めることができる、大手も中小も関係ない戦いの場が不動産競売なのだが、故に高い「値付けを正確に適正にする能力」が通常の買取よりも重要になってくる。このアパートがまた競売に出てくることが無いように・・・。そんな気持ちで高齢の男性を見送った。

第二話に続く。

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