太田市市場町、築年数29年平屋の仕入れとリフォームについて。

太田市市場町で平屋の中古戸建を仕入れ、リフォームが完了しました。現在販売中です。

間取り、リフォーム前後の写真、商品化するために気を付けること、こうした物件を仕入れる時の注意点などを書いていきます。

間取り、リフォーム前後の写真はこのような感じ。

2DKのコンパクトな間取り、そして居室部分が全て和室なことがネックで、販売のターゲットが限られてくる。ファミリー向けを狙うならフローリングにする必要があるが費用がかさむ。畳のままか、フローリングに貼り替えるか悩みどころ。

物件のスペックは、

・築29年の平屋戸建
・雨漏りや白蟻などの被害は無し、外壁もそこそこ綺麗
・居室が全て和室
・玄関ドアや内部の建具などの程度は良い
・土地63坪
・前面道路が3m程しかなく、車でのすれ違いができない
・周辺は商業施設の少ない地域(スーパー、コンビニまで車で10分)

といった感じ。前に築43年の平屋建てリフォームの内容を公開しましたが、

周辺の立地状況は似ていますが、築年数は今回の物件の方が浅く、外壁や建具の程度が遥かに良い、というのが差異になります。


さて、今回の物件をリフォームするときに注意するポイントですが、本物件の特徴として、

・利便性が悪く(周辺に生活施設無し)、間取りも2DK(居室全て和室)で客層を選ぶ(ファミリー層に売るには建物面積が狭すぎる)
・土地が中途半端な広さで大きな庭を造ることもできない、駐車場は2~3台分程度は確保できる
・前面道路が狭く大きな道路へのアクセスが大変

つまり、、、

こんな物件高かったら誰も買わない!!!!!!!!

ことを認識することが大事になります。

上記の認識をしっかり持つことができれば、「高い金額では誰も買わない、リフォーム費用を抑えて、月々のローン支払いが2万円程で収まる金額に総額を抑えて、家賃を払うよりも大分安いなと感じてもらおう」という発想が生まれます。なんでもかんでもお金をかけまくってリフォームをすることが、正解ではないということです。お金をかけるべき物件と、かけないべき物件の判断を正確にこなせることがリフォーム買取再販業では大事です。

リフォーム前は駐車場すら無い状態でした。利便性の悪さ、駐車場無し、建物内部の古くささ、これでは一般の人はどんなに安くても誰も買いません。しかし、我々にとってすれば、こうした物件は誰も買わない故に「安く」仕入れることができる「お宝」物件なのです。

今回の場合は、ファミリー層への販売を完全に諦め、「高齢二人暮らし」「子供が独立した夫婦二人暮らし」「単身者」向けに絞ることで、

・フローリング貼り替えはしない(2部屋とも和室のまま)
・外壁は程度が良いので、雨漏りの確認だけして塗装はしない
・玄関や建具などもそのまま流用(カギだけしっかり交換)
・キッチンや洗面化粧台もグレードの高いものは入れない
・廊下部分はクッションフロア貼りにしてコスト削減

といった、全部を新品にするのではなく、機能性の向上よりも、清潔感を出すことにポイントを絞ったリフォームを施すことにしました。

結果、詳細な仕入れ金額、リフォーム費用などは伏せますが、「一般の人が買わない物件故にかなり安い仕入れ金額で物件を購入」「お金をかけすぎない清潔感重視のリフォーム内容」にて仕入れ・リフォームを実施したことで、「680万円」というかなり割安な金額で販売をスタート出来ています。(もちろんしっかりと弊社の利益は取れています。)

購入時のもろもろの諸経費が約50万円程度かかるとしても、頭金0円で35年ローン・金利1%の場合、月々の支払は「2万円ジャスト」です。この支払金額なら、あまり良くない立地条件や、フルリフォームとは言えないリフォーム内容であっても、間違いなく誰かが買ってくれます。「安い」ことは「正義」です。

本ブログでは何度も繰り返し言ってきていることですが、「中古住宅は所詮値段命」です。値段を気にしないで何でも好きに買うことができるのなら、誰も中古住宅なんて購入しません。「お客様目線で割安だと思ってもらえる」値段設定をできるように、仕入れとリフォームを考えること、これが最も大事な中古買取再販業者としてのスキルとなります。

といったところで、こうした利便性や建物面積などに問題があり、本来のメインターゲットであるファミリー層に売れない物件を仕入れ、リフォームをするときは、

・ファミリー層に売ることを思い切って諦める

・ファミリー層以外には高い金額では不動産は売れない(特に中古の場合)

・「これは割安だ!」と思える販売金額を想定し、そこに合わせて仕入れ値とリフォーム費用を考える

・こうした物件を購入する層は「品質<<<値段」なので、パッと見の清潔感を重視したリフォームをする(リフォーム費用をかけすぎない)

・何度でも、何度でもいうが、買取再販業者の仕事は物件を「安く」仕入れることである。

といった点に注意しましょう。

最後に、リフォーム発注時に気を付けたポイントを、各間取りの部分ごとに書いていきます。

外観、庭


外壁の程度は悪くない、塗装は必要なさそうだ。一方、雑草や手入れのされていない樹木が、見た目の清潔感を非常に阻害している。
玄関のカギを交換、外壁は高圧洗浄で多少汚れを落とすだけとした。雑草や樹木は全て伐採・伐根し砂利を敷き詰めた。除草をしっかりとする、当たり前のことだが、意外にこの当たり前のことが出来ていない業者は多い。半年・一年と売れていない物件に行くと、雑草が生い茂っていることが多い。少なくとも月に1回は物件の状態を見に行って、ゴミ拾い・除草をするのことで最終的な販売金額が100万円違ってくる。
リフォーム前は駐車場無しだった。都心ならいざしらず、地方で駐車場が無い物件は価値0、いや「価値マイナス」である。
道路に面する塀を撤去して駐車場を3台確保した。駐車場の拡張が必要な物件を仕入れる場合は、外構費用がどのくらいかかるかを事前に調べることが大事だ。

玄関


廊下は細かなキズや汚れが目立ち、見た目が非常に悪い、フローリングを重ね張りするかクッションフロアにするかの選択だ。和室をフローリングにするなら廊下もフローリングにするが…。
廊下は木目調のクッションフロアを貼り替えた。フローリング貼り替えとクッションフロアでは費用が倍以上変わってくる。本物件のリフォーム指針は「清潔感重視の割安リフォーム」である。フローリングに貼り替えることが常に正解にはならない。

居室、縁側


前述の通り、和室はフローリングにせずこのままいく、その中でどこまで清潔感を持たせたリフォームすることができるかがポイント、京壁をクロスにしたいところだが…
畳の表替え、襖の張替、照明交換を行った。京壁はクロスにせず既存のままとした。京壁をクロス貼りにする場合、壁にそのままクロスを貼ることは出来ないので、ベニヤ板を打ち付けてからクロスを貼るという手間が生じ、その分費用が上がってしまう。京壁はそこまで劣化を感じなかったので、最終的な仕上がりも悪くなかった。
廊下と同じく床に汚れが目立つ。また、カーテンレールが古くささを感じる。
廊下と同じく床はクッションフロア貼りに、カーテンレールは撤去した。リフォーム済み物件にカーテンレールをつけて販売するか、しないかでは、どれだけ成約確率が変わるか、という疑問が中古買取再販業界では長年の議論となっている。私は「値引きの代わりにプレゼントする」という手段を取っている。

水回り


どのようなキッチンを付けるかがポイント、ターゲットはファミリー層では無いので、グレードのよいものを付ける必要はないだろう。それよりは「安価」をお客様に提示できるほうが、お客様のためだ。
キッチンは「マイセット」社のものを入れた。シンクや調理台の幅を自由に組み合わせることができる安価なキッチンだ。機能も二人暮らし、単身での利用ならば十分だ。床はクッションフロア、壁・天井はクロスを貼り替えることで清潔感も出た。
洗面化粧台が少し狭い、部屋の横幅が120cmなので洗面化粧台も大きすぎるものは入れられない。
床はクッションフロア、壁・天井のクロスを貼り替えることで清潔感を演出。洗面化粧台は60cm幅のものを採用。これなれば7kg程度の縦型洗濯機は十分入る。
コストをかけないリフォームをする場合、タイル補修と浴槽交換という選択肢が思いつく。ただし、収益物件の場合ならそれもアリかもしれないが、「買取再販」物件の場合は思い切って新品のユニットバスを入れ替えてしまったほうが、お客様への好印象・成約確率の向上といった理由から結果的に費用対効果は高い。
新品のユニットバスに交換。他のどんなところが多少古くさくても、浴室さえ新品ユニットバスだとお客様は喜んでくれる。お客様が喜んでくれる部分に集中的にお金をつぎ込むことがリフォーム成功の秘訣だ。

中古買取再販業での仕入れ、及びリフォームの「キモ」は、

・誰を対象として売るか、その対象はどのような物件を求めているか、といった観点から「想定販売金額」を出す。

・その「想定販売金額」から「いくら」で仕入れて、「いくら」でリフォームをすればよいか、それぞれの価格を導き出す。

・リフォーム費用は工務店さんの生活もあるので、交渉で値段を下げるのは限度がある。リフォーム金額は最初から大体の想定ができるので、頑張るところは「仕入れ」時の交渉である。

何度も、何度も、何度も繰り返す。中古買取再販業の仕事は「安く」仕入れることである。「安く」仕入れることができる物件の見極め、「安く」仕入れさせてくれる業者との関係性の構築が中古買取再販業者の仕事なのである。

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